しばらく更新をさぼってしまいました。ごめんなさい。
8月は勉強会も夏休みなので、報告もありません。
そこで、とちぎノーマライゼーション研究会の今までの活動を振り返り、記録をブログにとどめておこうという勝手な思い付きのもと、【ノーマライゼーション・アーカイブ】を作ろうと思いたちました。
第1回は「車いす用スタンドの開発」です。
これは、2008年、テクノエイド協会の福祉用具研究開発助成を受けて行われたもので、車いすのタイヤを人が乗車した状態でも簡単に空転させることができる用具を開発するものです。
スタンドの原理は、F1レースのタイヤ交換の際に使われるジャッキと同様、てこの原理で車いすのティッピングレバーを持ち上げるものです。
これが最初のころの試作、10台以上の試作を繰り返しました。
単純な原理のため様々な形状が考えられえましたが、車いすのティッピングレバーは、高さや幅が様々なので、多種の車いすに合わせるにはそれなりの工夫が必要でした。
タイヤを持ち上げる高さについても、それなりに研究しました。テクノの助成を受ける研究開発ですので、その道の学識経験者からのアドバイスや注意を受けながらの開発となりますが、タイヤを持ち上げることにより、座面の角度が前傾するので、その前傾による座位への影響について、しっかりと研究したうえで安全を確保するように意見が出されたからです。
この点について研究実験している場面が下の写真です。
車いすをミリ単位で傾斜させ、座位にどのように影響するかを研究しています。身体の重心位置にもよるので、腕を前方に突き出したり、想定される構えを行いながら探っていきます。このような実験は、実際の車いすユーザーのもご協力いただき、繰り返されました。
また、スタンドを持ち上げるときの動きに対しての安全性もチェックしました。
両下肢欠損の車いす利用者の場合が、もっとも危険が高いということで、そのモデルを作り実験をしました。モデルづくりには、療法士の方々からのアドバイスで、重心位置や坐骨位置もできる限り再現しています。
そのほか、タイヤを清掃するなどの作業中に、不意にスタンドが外れてしまわないか、複数の基底面を持つモデルを作って実践で確認、これも、乗車者が安静にしているとは限らないので、脳性まひの人の場合の腕や足の動きなどを再現しながら実験を行いました。
そんなこんなで、最終形に近い試作がこんな感じ・・・
最後には、プロのエンジニアの力も借りて、こんな感じに完成させました。
実際にどのようにこのスタンドを使ってタイヤを持ち上げるのか?
その映像は、You・tubeに公開されています。
こちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=pmbrO-oku3M