【報告】高齢者のための車いすフィッティングセミナー(その4)

「良い座位姿勢」とは?
今までの考え方では、「90度座位」が望ましい座位姿勢として目標とされてきたと思いますが、
今回の研修では、「90度座位姿勢そのものに生活上のメリットがあるわけでなはい」「90度
座位」がとれたからOKなのではない」という前提がありました。


「良い座位姿勢」の条件として、「安定」「リラクゼーション」などが示されましたが、「安楽な呼吸」という
条件は、わたしが今まであまり気にかけていなかった項目でした。


(出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/)

この絵から、「胸鎖乳突筋」を探してみてください。この筋が、座位姿勢に関連しているということを今回勉強
しました。

この「胸鎖乳突筋」は胸郭を持ち上げるときに働く筋で、胸式呼吸の際に活躍します。リラックスしているとき
には人は腹式呼吸なので、「胸鎖乳突筋」の働きは少ないのですが、仙骨座り、いわゆるズッコケ姿勢では、
腹部が圧迫されて横隔膜の上下動が阻害され、腹式呼吸がしづらくなります。

その結果、胸での呼吸が活発になるとこの「胸鎖乳突筋」が働くわけです。一般に私たちは、息が苦しいときに
胸式呼吸になり、肩を上下させて「はあはあ」となります。「胸式呼吸」が現れること自体、リラックスしてい
ない状態です。さらに、「胸鎖乳突筋」の働きすぎには弊害があります。

この筋は、胸郭上部を持ち上げると同時に頭蓋骨乳突部(耳の後ろ側)を引き付ける働きをするので、
結果として頸部の伸展(下あごを突き出して首を後ろに傾ける姿勢)を引き起こします。つまり、誤嚥しやすい
姿勢を作り出すということです。

研修会の後、ある重度障害の高齢者にお会いしましたが、この「胸鎖乳突筋」が膨張していました。座位姿勢が
大きく崩れているわけではありませんでしたが、ベッド上の姿勢など生活全体の中で、腹式呼吸がしにくい状態
があるのかもしれません。

座位姿勢の崩れが過緊張から間接硬縮を引き起こす、誤嚥しやすい姿勢も関節硬縮の延長でとらえていました
が、今回、呼吸との関係が分かったことでより深く理解ができました。また、シーティングの奥深さを感じさ
せられた研修会でした。

【報告】高齢者のための車いすフィッティングセミナー(その3)

私が、このセミナーに「参加したい!」と強く思ったきっかけは、【その2】で紹介した冊子
「高齢者のための車いすフィッティングマニュアル」の冒頭、「フィティング(適合)とは?」の
文章でした。

私は、それまで「シーティング」という言葉と「フィッティング」という言葉を、あまり区別せずに
使っていました。というより、区別する必要性をあまり感じない仕事をしていたのだと思います。
「車いすに良い姿勢で座ってもらう」ための仕事をしていました。

「良い姿勢」については、後からコメントしますが、私がしていた「車いすに良い姿勢で座ってもらう」
は、「シーティング」でした。冊子にはシーティングを「座位姿勢のポジショニング」と説明しています。

それでは、「フィッティング」とは何か?
「フィッティング(適合)とは、その車いすを利用する人を中心として、用具を身体的、環境的、目的的、
社会的に最適化するプロセス」

おっ!これって、私の好きなICFじゃん・・・。
環境因子〜どこで使うの?誰と使うの?周りにはどんな人がいるの?
個人因子〜乗り心地はどう?色は気に入った?
参加〜ところで何するの?テレビでも見る?レストランで食事?あ、ゆっくり休みたいのね・・・。

こんなことを考えて車いすを合わせていくのが「フィッティング」ということ。

この写真は、かなり前に、椅子の脚を切って高さを低くした事例です。

座面の高さが適切になったので、足裏がかかとまでしっかりと床につき、座面の奥まで腰が入り、背もたれに
寄りかかって(骨盤が後傾せずに)脊柱がしっかりと伸びています。
これは、シーティングです。この椅子では、食事はできても、休息してリラックスという目的には適合しない
ですから。フィッティングを考えると、椅子は目的に応じて複数必要ですね。

でも・・・、一台の車いすで、食事やリラックスなど複数の目的に対応しなければならないのが、車いすの
フィッティングの難しいところですね。

「良い姿勢」についてですが、よく「良肢位」という言葉を聞きますが、車いすのシーティングでこの言葉を
使うのは適切ではないそうです。「良肢位」は「良い姿勢」を表現している言葉ではなく、仮に関節が拘縮等で
ある位置から動かなくなったとしても、日常生活に及ぼす影響が比較的に少ない四肢の状態を示す整形外科的
用語だそうです。

【報告】高齢者のための車いすフィッティングセミナー(その2)

このセミナーは、撮影がNGだったので、セミナーの様子の画像はありません。



最初に主催者の方からのご挨拶がありました。
現在、一般に「介護職」といわれる人は150万人程度いるそうです。今後、高齢者人口が増えると、
必要な介護職人口も増えるのは当然ですが、その数、最大で290万人と予測されているのだそうです。
今の倍! 政策を作る人たちや識者の間ではこの数は「非現実的」な数字と認識され、介護人手不足が
深刻化することが予測されるそうです。

そこで、その役割が期待されているのが福祉用具や住宅改修です。私が「生活環境支援」と名付けている分野
です。

支援の基本的なコンセプトとして私が研修などでお話しするのは・・・、

第一に 環境を整える。〜できることを増やす、安全に末永くできる
第二に 環境を整えてもできないことは、マンパワーを導入する
第三に マンパワーだけでは解決しない場合は、環境の整った場所(施設)に移動する

最初に「施設ありき」ではないのは、ノーマライゼーションの基本的な考え方です。
高齢者は要介護になっても、基本「今まで通り家で暮らしたい」が希望です。だから、まず環境が大切だと
考えます。

日本は「持ち家、家族同居志向」が強いのですが、北欧では「個人」なり「夫婦」が社会の単位で、
持ち家ではなく、「自分の身体機能に合わせ住居や地域を変えていく文化がある」と聞いたことがあります。
車の運転ができれば郊外の自然豊かな場所に住み、仕事が忙しければ職場の近くに家を移し、移動が困難な
身体機能になれば、買い物等の便利な地区に暮らす、その流れの中で施設も位置づけられている、そんな話
でした。

「家のお風呂に入れない」⇒「デイサービス」
が当たり前ではなくて、
「家のお風呂に入れない」⇒「手すりつけて安全になるかな?」
             「またぐところが不安だからそこだけ手伝ってもらおうか?」
という発想の展開が大切だと思います。

「一人暮らしで話し相手もいない」⇒「デイサービスで、みんなと楽しく過ごしましょう」
これもきっと、来年からは「地域の主婦さんにボランティアでお茶ともだちになってもらいましょう」
となるのでしょうね。

主催者の方からのご挨拶に「ふむふむ、納得」でした。

このセミナーは、テクノエイド協会が最近作成した冊子「高齢者のための車いすフィッティングマニュアル」
に連動しています。

あ〜、参加したかった。残念だった!という人は、冊子だけはテクノのHPからダウンロードできます。

http://www.techno-aids.or.jp/news/doc/vol18.pdf


【報告】高齢者のための車いすフィッティングセミナー(その1)

先日、テクノエイド協会ほかが主催する「高齢者のための車いすフィッティングセミナー」
に参加してきました。
会場は、東京の新小岩駅から徒歩15分くらい。会場に向けて歩いていると、何か信号の
向こうから視線を感じ・・・


時間もあるので、信号を渡り近づいてみると・・・

あれま、ガイコツさんでした。

今日のフィッティングセミナーでは、たぶん中心的な話題となるであろう、「坐骨」を、じっくりと
観察させていただきました。


さて、会場はこんな素敵な小川と木陰がある場所です。


会場でびっくり、昨晩(5月15日)音楽療法を一緒に勉強したOさんが参加していました。
さらに、栃木での第一回プランナー研修の卒業生Nさんも、
みんな、がんばっているなー!

というわけで、これから数回に分けて、「高齢者のための車いすフィッティングセミナー」の報告を
したいと思います。

乞うご期待!

【予告】とちぎ福祉用具プランナー研修

今年度のプランナー研修は・・・。

eラーニング 8月中旬〜10月中旬
集合研修 10月12日(日)・19日(日)・26日(日)
        27日(月)・28日(火)・29日(水)
        30日(木)
の全7日間の予定で、現在講師調整中です。
(都合などにより変更の場合あり)

詳しい内容、日程が決まり次第改めてお知らせいたします

お問い合わせ、案内資料希望については下記問い合わせ先までご連絡ください

NPO法人 とちぎノーマライゼーション研究会
電話/FAX:028-627-2940(午前9時から午後5時)
mail:info@normalization.jp

ということで
24年度の思い出フォトから・・・。

住宅改修編
プランナーの集合研修では、住宅改修は実技・演習で9時間の内容が組まれています。
私、伊藤はこんな内容をお伝えしています。

まずはじめに、住宅改修の役割、意義をICFベースでお話しします。
「日本の住宅の問題点」から始まることが多いと思いますが、ICFを理解すると、住宅改修の「支援」
としての役割や、身体機能との適合の意味、方法論がより意識されます。

身体の動きと環境のかかわりも大切です。手すりを把持できるストライクゾーンと動きの中でそれが重なる
コアゾーン、コアゾーンをつくりだすように体は動きます。


実務の内容でメインとなるのは、ひとつ目が間取り図等の図面の書き方。

実際の家屋を映像で確認しながら、間取り図や住環境の把握として重要な段差や生活家具などの把握をします。

もうひとつが、手すりの組み合わせです。

様々なパーツを組み合わせて、目的の形状を作る演習です。最近は、たくさんのパーツが販売されており、
カタログだけではわからない形状や使い道を実物を手に取って理解していきます。

そんなプランナー研修会、ぜひご参加ください。

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